会話オンリー


「んじゃ、そろそろ一杯始めるかァ」
「零さん一杯じゃなくていっぱいじゃない?」
「嬢ちゃんだって飲むだろ? いっぱい」
「へへへへ」
「当然のように俺の家でおっ始めようとするのはもうええとして……最近忙しくて買い物行けてへんから冷蔵庫スッカスカやで」
「ほな買い出し行こかー、いつものスーパーでええやろ?」
「良いねえ、おいちゃんあそこのハムカツハマっちまったんだよ」
「零さん胃袋若いよねぇ。あれ、盧笙は行かないの?」
「あー、俺部屋片付けて皿とか出しとくわ。零、お前もこっち手伝えや。は簓と行ってきてええで」
「え? 零さん食べたいもんあるらしいし、それなら簓と零さんで十分じゃない?」
「そうかも知れへんが……ええから行ってこいや」
「盧笙~、そーんな嬢ちゃんのこと邪険に……おいおいまさかお前おいちゃんと一緒にいてえのか? っかー照れるぜ」
「アホかキッショい言い方やめぇや!」
「……盧笙、私のこと嫌いだもんね」
「は、お前っ急に何言って……そんなわけ、ないやろ」
「じゃあなんで私と2人になるのそんなに嫌がるの。……最近、いつもそうじゃん。私盧笙に何かした?」
「そんなんお前が……いや……」
「なに?」
「……言うてええんか」
「なに、いいよ。言ってよ」
「お前が……簓のこと、好きやからやろ」
「は?」「は?」「は?」
「お前に嫌な思いさせたくないねん。俺は応援したいんや」
「まって、なに? 応援? 私が誰を好きって」
「せやから、は簓のことが好きなんやろ」
「違うけど。え、仮にそうだとして、なんで私が嫌な思いして、盧笙が私を避けることになるの」
「そんなんお前、興味無い男と2人でおって簓に勘違いなんかされたら嫌やないんか。それに俺が……あー」
「ちょっと、なに」
「なんでもない、別の話や」
「なんでもないってことないでしょ」
「……俺が、お前のこと好きだからや。2人きりになって、変なこと言うたりしたりして、お前に嫌な思いさせたくないねん。……はは、いうてもう手遅れやけどな」
「いや、盧笙なんだけど」
「なにがや」
「私が好きなの」
「そら嬉しいけど、俺が言うとんのはそういう意味ちゃうねん」
「いやだから! そういう意味で! 私が好きなのは盧笙なの!!」
「なんやねん変な同情いらんねん! もうええて抉るなや!」
「なに同情って! なんなの、どうしたら信じてくれんの!?」
「どう、て……」
「……」
「……キス……でも、してみるか」
「……え、して、くれんの?」
「いや“してくれんの”ってなんやねん! ……そんなん、こっちの台詞やん」
「だって……」
「いやすまん……」

「……いや早よせえ!!!! 来るなら来る! チューするならする!! 簓さん買い出しもお前らの仲ももうずーーっと待っとるんやけど!!!???」
「いや〜今夜はお祝いだなァ、おいちゃんがとびきり良い酒買ってきてやるよ」
「盧笙、俺らが帰ってくるまでにちゃあーんとバシーッとチューしとくんやで!! ええな!? ほら零行くで!!」
「まあ待てって。なあ盧笙……チューだけで済まないようなら連絡してくれや」
「いや何言うてんねん!! くそ、お望み通りとチューするんやからもうお前ら早よ行けや!!」
「「行ってきまーす!!」」


(20230721)


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